一応の推定
第13回松本清張賞受賞作。第二の松本清張になれるかもしれない有望作家の誕生です。60歳で初長編というのも画期的じゃないでしょうか。
「一応の推定」とは聞き慣れない名前だけど保険業界用語で、
保険の契約者が遺書を残さないで自殺したとき、典型的な自殺の状況が説明されれば裁判官に認定されるという理論だそうだ。
自殺であったと推定させるためには、
1・自殺の動機となる事実があった。
2・自殺の意思があったと判断できる事実の有無。
3・事故当時の精神状況
4・死亡状況
<自殺らしい>程度ではダメだが<明白で納得が得られる>状況なら認定されて保険会社は保険金を支払わなくても良い事になる。
元保険会社作家のミステリーというと黒い家を思い出すが、この作品は殺人も大きな事件も起きない地味な展開で話が進んでいく。
地味な作品だが、それだけにひとつひとつのエピソードが身近で明日わが身に降りかかるかもしれない事としてひきつけられる。
派手な演出を抑えた筆致でこれだけ読ませてしまう作者の力量に感服しました。
黒い家では「母親がわが子を殺す事はありえない」という先入観がトリックになっていましたが、その後母親がわが子を殺す事件が相次いで起こりこの作品でも「自殺らしい」という先入観がトリックに使われています。
免責(保険金を支払わなくて良い)になると調査員に報酬が支払われるなど随所に保険会社の内幕が描かれています。
万が一の時、保険金の支払いでトラブルにならないために必読の書?
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