経済産業省のエリート官僚・山田課長補佐が2004年11月から1年間第3子の育児休暇をとった間の育児記録。
子供の成長の過程は育児を経験した人なら「ある、ある」と思う内容が多い。
バリバリのキャリア官僚として「無制限・無定量」で働いていた山田さんが、家事・育児という地味で原始的な仕事に専従して感じる戸惑い・不安などは「男の人でもやっぱりこうなるんだ」と思いました。
経済産業省のキャリアだけに小さな事でも日本の将来を考えている視線は「やっぱり」という感じ。
でも
やっぱり恵まれてるんですよね。
奥さんが2002年に双子を産んだときもすんなりと1年間の育児休暇がとれて待機児童満載のはずなのにすんなりと認可保育園に入園できて問題なく復職して重要な仕事を任されている。
今回は奥さんの仕事が充実している時期で2度目の育児休暇は厳しいという事で山田さんが育児休暇をとる事を決断した時も「権利だからね」と内心は不明ながらも表立った嫌味は言われていないみたい。
双子のお兄ちゃん、お姉ちゃんも保育園から追い出されず、おまけに制度が変わって追い出されない期間が一年半になったら第3子が保育園に入園できる2006年4月まで育児休暇を延長しようかって真剣に考えている。
育児休暇中だから収入が減っていると言うけれど、育児休暇中も3割の給与が貰えている。
国家財政が苦しい時代に、産休は労働者の権利としても育児休暇は働いていないのだから無給だって当然だと思う。本来これは育児休暇は取りたいけれどシングルマザーなどの理由で収入が無いと生活できない人の為の制度だと思う。
一見労働者保護のようだけど、これじゃ企業側はますます正社員を採用するのに慎重になってしまうような気がする。
本の後半で日本の少子化対策への提言を書いているが、「恵まれた労働環境の公務員の考える事はやっぱりね・・・」って感じてしまうのは私のひがみだろうか?
日本の所得格差拡大を懸念、OECDが初めて言及
報告書は、所得から税金などを差し引いた可処分所得が低い「相対的貧困層」の割合について、OECDの2000年の調査(18~65歳が対象)では、日本がOECD加盟30か国のうち米国に次いで2番目に高いと指摘した。特に、パートやアルバイトなど非正規雇用者の増加が将来の労働力の質を低下させ、日本の経済成長を押し下げる恐れがあるとした。
少子化の原因はさまざまあるけれど「子供を産みたくても経済的時間的余裕がない」ってのが一番のような気がする。
それどころか「子供はおろか先の見通しが立たず結婚もできない」「一応正社員だけどカツカツの人員配置で働いているのでデートしたり恋愛に割ける時間がない」
時間はあるけど収入の不安定な層と、正社員だけど奴隷のように働かないと正社員でいられない層に若者が分断されてしまっているのが問題なんだと思う。
育児休暇が取りやすい環境整備も大切だろうが「子供が産める恵まれた環境の人の子供の数を一人から二人、二人から三人に増やす政策」のような気がしてしまう。
大切なのは子供を安心して産める環境全般の整備と畠山容疑者のように子供を産む心構えが無いうちに子供を産んでしまった母子への応援環境のような気がする。
山田正人さんの本は週刊誌などでも紹介されて売れ行きも好調な模様。
働く親にとって次の難関。双子が小学校へ上がり学童保育問題の時期の山田夫妻をとりまく周囲の環境に注目しましょう。
「学童のお迎えがあるから、定時に帰りたい?本も売れて印税もたっぷり入ったから生活に困らないでしょ?仕事辞めれば?こっちはあの本のお陰で公務員は恵まれすぎてるってあっちこっちから嫌味言われて困ってんだよ!!」って言われなきゃいいけどね。
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