学力の新しいルール
下流社会を読んだときも「データーっていうのは数字を分析する人の考え方次第で違う結論が導き出されるから、そのまま鵜呑みにしてはいけないよな。」って思ったけど、この本を読んで同じデーターを見ても人によってこうも導き出される結論が違うものかと改めて思いました。
本の帯には
○中学受験をしないからこそ将来が切り開かれる
○低所得の家庭からの東大合格者が増えている
○深夜の塾通いがかえって学力を低下させる
etc・・・
低所得の家庭からの東大合格者が増えているというのは東京大学HPの学内広報2004年12月号「学生生活実態調査」のデーターからそう断言しているのですが、
図 14 主たる家計支持者の年収分布図
確かに年収450万円以下の世帯が2002年の10.1%から2003年には13.9%に増えていますけど、それだけで「低所得の家庭からの東大合格者が増えている」って断言するのは早計すぎると思うんですけど。
確かに2002年と2003年を比べると年収950万円以下の普通の中流家庭の子供の合格者が増えているんですけれど、それでも950万円から1050万円以上のアッパーーミドルが21・9%もいるんですよ。
他の学校のデーターは知りませんけれどこれって多くありません?
750万円以下の世帯が34・3%
750〜1050万円の世帯が38.4%
1050万円以上の世帯が27・3%
こうやって見ると「東大合格者の年収は全国の平均所得より100万円以上高い」っていう定説の方が信憑性があると思うんですけど。
それにこれは「主たる家計支持者の収入」で「世帯収入」じゃないんですよね。
主たる家計支持者の父親が年収430万円で母親が380万円。同居している祖父母に300万円程度の収入があったら年収1000万円以上。十分アッパーミドルの生活ができる収入だと思います。
同じ年の生活実態調査で「出身高校の種類」(表7−2)があって、それによると中高一貫私立の出身者が46・8%
前年52回の50.3%と比べると確かに公立出身者が数字の上では増えていますすけれども、これは「不景気で就職が思わしくないので成績上位者が東大より医学部に流れた」からって説もあるんですけどね。
「地方出身の合格者が増えている」理由としても医学部志向説の方が有力なような気がします。
特に地方では企業の研究所など理系エリートの志望しそうな就職先が少ないので、成績上位者が医者や弁護士などに流れるっていうのは説得力ある説のような気がするんですよ。
内容的には注目すべき点も多いのであまりにも「売らんかな」で強引なキャッチコピーを持ってくるとかえって信頼性を失うような気がします。
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